人材確保の答えは、採用テクニックではなく「理念」にあった|一人では救える人数に限界がある

人材確保の答えは、採用テクニックではなく「理念」にあった|一人では救える人数に限界がある

こんにちは。デジネスラボ放送局パーソナリティの東ひかりです。
今回のテーマは、「人材確保」です。

経営者の方からは、「人が採用できない」「採用しても長く続かない」「優秀な人に来てもらえない」という悩みをよく聞きます。求人広告を出す。待遇を見直す。面接の質問を工夫する。もちろん、こうした方法も必要です。

けれども、人材確保を単なる採用活動として考えている限り、組織はなかなか安定しません。

1.「一人では救える人数に限界がある」という原点

私が介護事業で人を必要とした原点は、「会社を大きくしたい」という願望ではありませんでした。母の介護をきっかけに、自分自身がヘルパーとして現場に入り、そこで出会ったご家庭の状況を見たことです。

私の家庭も大変でした。しかし、訪問先には、さらに厳しい状況の中で暮らしている方々がいました。働きながら家族を介護している方。介護する側も高齢になり、心身ともに疲れ切っているご夫婦。支援が必要なのに、支える人が足りない現実がありました。

そのとき、私は思いました。

「私一人が動けるのは、24時間365日しかない」。

どれほど強い思いがあっても、一人の身体で動ける時間には限界があります。自分がもう一人、また一人と増えていけば、助けられる人も増える。そこで初めて、「自分と同じように動いてくれる人が、もっと世の中に必要だ」と切実に感じたのです。

私が欲しかったのは、人数だけではありませんでした。

「自分がいっぱい欲しい」。

この言葉には、自分の代わりに作業をする人が欲しいという意味ではなく、目の前の人の苦しみを自分のこととして受け止め、必要な行動を起こせる仲間が欲しいという思いが込められています。

2.人数を増やしても、同じ方向を向かなければ組織にはならない

人を採用すれば、すぐに事業が大きくなるわけではありません。むしろ、人が増えるほど、判断の違い、仕事への姿勢、利用者への向き合い方の違いが表面化します。

そのときに必要になるのが、経営者の気分や個人的な好き嫌いではなく、組織としての経営理念と行動指針です。

私は理念をつくるために、約1年かけました。思いついた言葉を掲げて終わりではありません。何度も対話しながら、「私たちは何のために仕事をするのか」「どのような判断を大切にするのか」を言葉にしていきました。理念づくりについては、大手企業のコンサルタント経験を持つ旧知の友人にも協力をお願いしました。

なぜ、そこまで時間をかけたのか。

理念は、会社の壁に飾る標語ではないからです。採用する人を選ぶ基準になり、スタッフが迷ったときに戻る場所になり、経営者自身が責任を引き受ける約束になるからです。

面接では、個人の価値観を否定しません。一人ひとりの人生観や考え方は尊重します。ただし、仕事をする場では、会社の理念と行動指針を価値判断の基準にしてもらうことを伝えます。

「私はこう思う」だけで判断するのではなく、「この理念に照らすと、利用者にとって何が必要か」を考える。その共通の基準があるから、違う個性を持った人たちが一つの組織として働けます。

さらに、私の看板で仕事をしてもらう以上、最終責任は私が取ります。だからこそ、理念への共感は欠かせません。条件が良いから来る人ではなく、目指す方向に心から納得してくれる人と働くことが、長期的な人材確保につながります。

現在、私の事業には約40名のスタッフがいます。最初からこの規模を目指して計画したわけではありません。必要な人を助けたいという思いから動き、その思いを実現するために人が必要になり、人が働き続けられる仕組みが必要になりました。

3.採用で見るべきなのは、経歴だけではない

採用では、資格や経験、勤務条件など、確認すべき項目があります。介護の仕事であれば、専門性や安全への理解も重要です。しかし、それだけでは十分ではありません。

・目の前の人の変化に気づけるか
・困っている人を見たときに、誰かの指示を待つだけではなく考えられるか
・自分の都合と利用者の必要が衝突したとき、理念に戻って判断できるか

こうした力は、履歴書だけでは分かりません。

だから面接では、経験年数だけを聞くのではなく、その人が何を大切にしてきたのかを見ます。仕事を通して何を実現したいのか。人と関わるときに、どんなことを感じ取るのか。自分の行動が相手にどう届くかを考えられるのか。

これは、介護事業に限った話ではありません。ケーキ店でも、教育でも、コンサルティングでも、商品やサービスの先には必ず人がいます。相手の状態を理解しようとする力がなければ、表面だけ整った仕事になってしまいます。

「感受性」という価値変換の力

感受性とは、気分に振り回されることではありません。相手の言葉の奥にある困りごとを受け取り、必要な価値へ変換する力です。

その力があれば、採用の場でも「この人なら理念を生きられるか」を見極めやすくなります。働く側にとっても、「この会社で自分の力を活かせるか」を判断しやすくなります。理念は、会社が人を選ぶためだけでなく、人から会社を選んでもらうためにも必要なのです。

4.忙しさで心を失わない経営

私は、売上目標や期間ごとの計画を細かく固めて、その通りに人と事業を動かしていく経営に、以前から強い違和感がありました。数字を見ることは大切です。しかし、数字だけを追いかけると、いつの間にか「何のために仕事をしているのか」が見えなくなることがあります。

「忙しい」という字は、「心を亡くす」と書きます。

仕事が増え、スタッフが増え、売上が伸びても、そこに働く人の心がなければ、組織は長く続きません。利用者の変化を感じ取れなくなり、スタッフの疲れにも気づけなくなり、問題が起きたときに責任を押しつけ合うようになります。

私が大切にしているのは、内面から湧いてくる「何をしたいのか」「何が問題なのか」「何に心が動くのか」という感覚です。

これは、計画を立てなくてもよいという意味ではありません。数字や仕組みを否定する話でもありません。むしろ、内側から出てくる本当の必要を見極めた上で、数字と仕組みに落とし込むことが重要です。

人材確保も同じです。「何人採用する」と先に決めるのではなく、どのような価値を届けるために、どのような仲間が必要なのかを明確にする。その後で、募集方法、教育体制、勤務条件、評価の仕組みを整えていく。

理念が先にあり、仕組みがそれを支える。これが、私の考える人材確保の順番です。

5.「自動経営」は、何もしない経営ではない

私は、自分の経営を「自動経営」「自然にそうなった」と表現することがあります。これは、何も考えずに放置しているという意味ではありません。目の前の問題から逃げず、自分の内面を整え、必要なことを一つずつ行っていく。その結果として、事業が自分の手を離れ、スタッフがそれぞれの役割を担い、自然に回り始めたということです。

最初は、私自身が現場に入らなければ何も進みませんでした。けれども、私がずっと現場の中心に居続ければ、私が倒れた時点で事業も止まります。

そこで、理念を共有し、判断基準をそろえ、任せられる人を育てる必要が生まれました。任せるとは、責任を放棄することではありません。責任を持って任せられる状態をつくることです。

人に任せるためには、経営者自身が自分の価値観を言語化しなければなりません。自分が何を大切にしているか分からないままでは、スタッフに「考えて動いてください」と伝えても、判断の基準がありません。

自分の内面を整理すること。それを理念として共有すること。そして、日々の行動で示すこと。この積み重ねが、経営者一人の頑張りに依存しない組織をつくります。

6.私の内面が変わった源流にある「いだきしんコンサート」

ここまでお話しした人材確保や組織づくりの根底には、私自身の内面の変化があります。

以前の私は、イベントの仕事をしていた一人親方でした。「社員を養うなんて無理」と考えていました。人を雇う責任も、人の人生を背負うことも、私にはできないと思っていたのです。

ところが、母の介護をきっかけに現場へ入り、目の前の人たちの苦しみを知りました。自分だけが助かればよいとは思えなくなりました。その思いが、介護事業を始める力になり、仲間を求める力になり、理念をつくる力になりました。

私にとって、いだきしんコンサートとの出会いは、こうした内面の変化と深く関わっています。

いだきしん先生の演奏は、楽譜のない即興演奏です。会場にいる人の生命状態を、言葉による解釈だけでなく、自分のこととして感じ取り、音として表現していくと聞いています。来場者の命そのものが楽譜になるような演奏です。

音を聴いていると、頭で考えていた答えではなく、自分の奥にある本当の願いが浮かび上がることがあります。

・私は何をしたいのか
・誰の役に立ちたいのか
・何を恐れて、どこで自分の可能性を止めているのか

言葉で自分を説得するのではなく、身体全体で自分の状態に気づく。その気づきがあれば、採用の仕方も、スタッフとの関わり方も、事業の方向性も変わります。

コンサートに参加すれば、必ず売上が上がる、必ず人が採用できるという保証をするものではありません。感じ方や気づきは、一人ひとり異なります。

ただ、経営の問題を外側の方法だけで解決しようとしている方には、一度、ご自身の内面に向き合う時間を持っていただきたいのです。人材の問題は、求人票だけでは解決しません。経営者が何を大切にしているのか。その理念に、どのような生命の力があるのか。そこから組織の空気が生まれます。

まとめ|人を集めるのではなく、共に生きる方向をつくる

人材確保という言葉には、どこか人を集めて配置するような響きがあります。しかし、私が実際に経験してきたのは、人を集めることではありませんでした。

「この仕事を通して、どんな社会をつくりたいのか」を明らかにし、その方向に共感する人と出会うことです。

自分一人の力には限界があります。だから仲間が必要です。しかし、仲間が増えればよいのではありません。理念を共有し、互いの力を活かし、利用者やお客様の生命に責任を持てる関係が必要です。

あなたの会社では、採用する人に何を伝えていますか。
給与や勤務時間の前に、「私たちは何のために存在するのか」を語れますか。
問題が起きたとき、誰かを責めるのではなく、理念に戻って話し合えますか。
経営者自身が、心を亡くすほど忙しくなっていませんか。

人材確保の答えは、外側にある採用テクニックだけではありません。経営者自身の内面を整え、理念を言葉にし、必要な人に届く形で伝えること。その結果として、同じ方向を向く人が集まり、事業が継続的に成長していきます。

一人ではできないことを、仲間と実現する。そのための最初の一歩は、自分の本当の願いを知ることです。

その感覚を取り戻す時間として、いだきしんコンサートに足を運んでみませんか。音を聴きながら、あなたが本当に創りたい仕事と、共に歩みたい人の姿を、ご自身の生命で確かめてみてください。

いだきしんコンサートの詳細・お申し込み

開催日程、会場、参加方法などの最新情報は、以下の公式案内をご確認ください。
※紹介者欄がある場合は、「東ひかり」とご記入ください。

※本記事はYouTube動画「#33 人材確保」の内容をもとに構成した紹介記事です。事業の成長、採用、人間関係の変化について、特定の結果を保証するものではありません。採用・契約・事業運営に関する判断は、ご自身の状況を確認した上で行ってください。公開前に、東ひかりさんご本人による最終確認をお願いいたします。

文責:東ひかり

この記事を書いた人

東 ひかり (Entrepreneur)

年商2億円を維持しながら、生命の在り方とビジネスの調和を追求する起業家。1800万円の損失と多額の借金、 tender 両親の介護という過酷な経験を、「内面の変革」によって飛躍の糧へと変えた。現在は「いだきしんコンサート」を軸に、多くの人の運命を書き換える活動を支援している。

詳細プロフィールを読む
参考文献
[1] 東ひかりOfficial Channel. (2023). #33 人材確保. YouTube.

[2] デジネスラボ株式会社. (n.d.). 東ひかり. デジネスラボ放送局.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA