英語より先に伝わるもの〜犬と猫は、"心の言語"を知っている〜


英語より先に伝わるもの
〜犬と猫は、"心の言語"を知っている〜
イギリスのホームステイ先で出会った犬が私に教えてくれたこと。
それは、「英語は怖くない」ということではありませんでした。
実は、もっともっと大きな学びでした。
ということです。
当時の私は、「英語を話さなければ」と必死でした。
でも、その犬は私の英語力を見て近づいてきたわけではありません。
私の発音を評価したわけでもありません。
ただ、そこにいる私を見ていただけでした。
そして、その飼い主であるホストマザーもまた、私の英語ではなく、 私の笑顔を見て話しかけてくれました。
その出来事を振り返るたびに思うのです。
心から始まるのだと。
犬は「あなたの言葉」を聞いているのではない
犬と暮らしている方なら、一度は経験があるかもしれません。
嬉しいことがあった日に「ただいま」と言うと、犬も嬉しそうにしっぽを振る。
反対に、疲れて帰った日は、同じ「ただいま」でも、そっと寄り添ってくる。
使っている言葉は同じです。それなのに、犬の反応は違います。
なぜでしょう。
それは、犬が聞いているのは「言葉」ではなく、
だからです。
私たち人間は、「何を話したか」に意識が向きがちです。
でも犬たちは、「どんな気持ちで話したか」を感じ取っています。
猫は"待つこと"を教えてくれる
犬と猫では、コミュニケーションの取り方も少し違います。
犬は比較的、人との共同生活を得意とする動物です。
一方で猫は、自分のペースをとても大切にします。
無理に近づくと離れてしまう。でも、こちらが焦らず待っていると、 気づけば隣に座っている。そんな経験はありませんか。
私は猫を見ていると、
「信頼は、急いでは育たない」ということを教えられます。
これは英語も同じです。
そう焦るほど、心は固くなります。
でも、安心して一歩ずつ続けている人ほど、いつの間にか自然に話せるように なっています。
猫は、「待つ勇気」を教えてくれる先生なのです。
私たちは「言葉」を教わってきた
日本の英語教育では、多くの場合、
単語。文法。発音。
これらを一生懸命学びます。もちろん、それは必要な知識です。
でも私は英語コーチとして、多くの生徒さんと向き合う中で感じてきました。 本当に必要なのは、その前にあるものではないか、と。
その環境があって初めて、人は声を出せるのです。
海外で感じた"安心感の文化"
海外で暮らしていた頃、私はよく英会話の練習のためにカフェへ行きました。 注文をするとき、言葉がつかえてしまうこともありました。
でも、多くの店員さんは急かしません。笑顔で待ってくれます。
「ゆっくりで大丈夫ですよ。」
その一言だけで、不思議なくらい言葉が出てきました。
私はそのとき初めて、
ということを体験しました。
ペットも、同じだった
保護犬支援をするようになってから、その感覚はさらに強くなりました。
保護犬の多くは、人間との過去の経験から心に傷を抱えています。
そう呼んでも来ないことがあります。
でも、それは命令が分からないからではありません。
そう見ているのです。
だから、こちらが焦るほど犬は近づきません。
反対に、
- 静かに座る
- 目を合わせすぎない
- ゆっくり呼吸する
そんな時間を過ごしていると、犬は少しずつ近づいてきます。
その姿を見ながら、私は何度も思いました。
これは、人間も同じではないだろうか。
英語が怖い人へ
英語を教えていると、
「Aoi先生、頭では分かっているんです。」
という言葉をよく聞きます。
知識はある。単語も知っている。でも話せない。
それは能力不足ではありません。
安心して話せる経験が少なかっただけです。
だから私は、レッスンで間違いをすぐには直しません。まずは、 「伝わりましたね」と伝えます。
その瞬間、生徒さんの表情がふっとやわらぐのです。
その笑顔を見るたびに、私は確信します。
安心感なのだと。
犬も、人も、世界も
私はイギリスでも、イタリアでも、パラオでも、日本でも、多くの人と 出会いました。
文化は違いました。言葉も違いました。価値観も違いました。
でも、一つだけ共通していたことがあります。
安心できる人には、人が集まる。
国籍も関係ありません。
世界で活躍している人ほど、相手を安心させる空気を持っています。 それは流暢な英語よりも、もっと大きな力です。
英語は「話す技術」ではなく「心を届ける手段」
私は英語を教える仕事をしています。だからこそ伝えたいことがあります。
英語は、誰かより上手になるためのものではありません。
自分を大きく見せるためのものでもありません。
大切な人に、
そんな気持ちを届けるためのものです。
犬や猫が教えてくれたコミュニケーションも、まったく同じでした。
だから私は、「心を通わせる英語」を伝えているのです。
この記事を書いた人
桑原 あおい (Aoi Kuwahara)
英語コーチ / デジネスラボ放送局パーソナリティ
「完璧な英語よりも、心を通わせるトーンを」大切にするペット英会話の第一人者。英語への恐怖心を「安心感」に変え、ペットに話しかけるような自然なコミュニケーションを広める活動を行っている。


