ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年|今の時代だからこそ子供たちに見てほしい


今の時代だからこそ子供たちに見てほしい
『ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年』
日本を代表するヒーローの一人、ウルトラマン。そんなウルトラマンのアニメがかつてテレビで放送されていました。タイトルは『ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年』です。
私がこの番組を初めて見たのは小学生の頃で、NHK総合での再放送の時でした(初回の放送は1991年です)。子ども心にも面白かった記憶はあったのですが、つい最近の2021年になって、「『ウルトラマンキッズ』のエンディングテーマはいい曲だったなぁ」と、ふと思い出しました。
『ウルトラマンキッズ』は、ウルトラマンや怪獣を3頭身にデフォルメしたキャラクターが登場する世界観です。その世界では、ウルトラマンと怪獣はお互いに敵同士ではなく、共存する存在です。もともとは『ウルトラマン』の実写TVシリーズが制作されていなかった時期に新たな展開として制作された作品でした。
1996年に『ウルトラマンティガ』(主演はV6の長野博)が放送されて実写TVシリーズが復活すると、『ウルトラマンキッズ』は役目を終えたかのように人々の記憶から遠ざかっていきました。
大人になって改めてこの作品を見返してみると、子どもたちに向けられたメッセージの力強さが、テンポの良い物語に散りばめられているとわかります。何より、声優さんたちがとても楽しそうにキャラクターを演じているのが画面から伝わってきて、見ているこちらもワクワクドキドキの連続です。
この作品に関わっていた人たちを調べれば調べるほど、キャストとスタッフの奇跡的なバランスで物語が成り立っていたのだと気づきました。
キャスト
- 山田恭子
- 菅谷政子
- 高山みなみ
- 龍田直樹
- 肝付兼太
スタッフ
- 原作・総指揮:円谷 皐
- プロデューサー:尾崎正善、玉川 静、江藤直行
- 監督:曽我仁彦
- 音楽:風戸慎介
第1話・第2話:旅立ちまでのあらすじ
宇宙の片隅にあるM7.8星に、一人の赤ちゃんを載せた救命艇が不時着します。救命艇に残されていた名前から「マー」と名付けられた男の子は、8年後、やんちゃで活発な少年に育っていました。
グローサー先生の学校で育ったマーは、卒業を迎えてそれぞれの家に帰る支度をしているクラスメイトの姿を見て、自分には「帰る家」がないと物憂げな気持ちになっていました。
そんな中、マーの親友セブが卒業記念旅行のために宇宙船を組み立て始めます。マーの両親を探しに行こうというのです。マーの友達のピコとターも同行することになりましたが、突然宇宙船のエンジンが作動を始め、宇宙に向けて飛び立ってしまいます——。
こうして「キッズスター号」の旅が始まります。その後、富豪の息子バルと使用人の息子ガッツンも操縦不能の「バル号」ごと仲間に加わることになり、6人の珍道中が幕を開けます。
第3話:「食料」問題と怪獣クレロンの物語
第3話では、キッズスター号の仲間たちが「食料」の問題に直面します。急発進してしまったキッズスター号には、ピコがたまたま用意していたマフィンしか食料がありませんでした。この日の食事は、仲間たちにそれぞれマフィン8分の1個のみ。
それに満足できなかったバルは、最後に残った一つのマフィンをこっそり食べようとします。お腹がすいているのはみんな同じなのですが、自分勝手な行動をとったバルに仲間たちは厳しい視線を向けます。するとバルは何かを思い出したように笑い出し——バル号には食料を保管する巨大な冷蔵庫が格納されていたのです!
一方マーたちは川から飲み水を調達していました。そこに疲労困憊のバルとガッツンが帰ってきます。バルの話では、りんご・バナナ・ぶどうの木があるとのこと。しかし、どこへ行っても一匹の怪獣に先を越されてしまいます。
やがてマーたちの前にも、その怪獣が現れます。
そんなターをセブが引き留めると、マーは穏やかな口調で怪獣に語り掛けます。
怪獣はオレンジを皮ごとすべて食べつくしてしまいます。それでも「腹減った」と言う怪獣にターが怒り出すと、セブが語りかけます。
いくら食べても、なかなかいっぱいにならない人がいるんだから」
— セブ
マーとピコ、セブが持っていたオレンジを怪獣に差し出すと、ターも渋々オレンジを二つに割って渡します。ところが、怪獣はもらったオレンジを食べようとせず、泣き出してしまいました。
クレロンの告白と、セブの言葉
クレロンという名前のその怪獣は、身の上話を始めます。仲間たちの食べ物を横取りして独り占めにしてきたクレロンは、ついに仲間たちに見捨てられてしまいます。
最初は「思う存分食べられる」と浮かれていたクレロンでしたが、食べ終わったあともお腹が減っているような気がして、食べるのをやめられなくなってしまいます。
一人、その言葉の意味を考えていたセブは、こんな考えにたどり着きました。
人の優しさに飢えているんだ」
— セブ
セブの言葉に、マーも納得します。
マーの言葉に勇気づけられたクレロンは、かつての仲間たちのもとへ向かいます。ずっと独りぼっちで寂しかったこと、独りではいくら食べてもお腹がいっぱいにならなかったことを告白するクレロン。
温かく迎え入れてくれた仲間たちの反応に、クレロンの目からこぼれたのは、自分を哀れむ涙ではなく仲間たちの優しさへのうれし涙。涙がこぼれ落ちると、クレロンの姿は元の穏やかな怪獣に戻っていました。
物語の余韻——バルとガッツンへの影響
怪獣の仲間たちはマーたちに野菜をプレゼントしてくれました。ピコはクレロンからもらったかぼちゃでパンプキンパイを作り、仲間たちにふるまいます。
一番大きいかけらをとったターを尻目に、バルとガッツンは浮かない表情で小さいかけらを選んで食べ終わると、さえない様子でバル号に戻っていきます。
2つ目を食べようとしていたターは、慌てて手を引っ込めました。
主題歌・視聴情報
『ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年』は、2015年にDVD-BOXが発売されたものの、現在は再販されていないため視聴困難な作品です。是非とも再評価が行われてほしいものです。
▶ オープニングテーマ Ultraman Kids OP / ウルトラマンキッズ OP ▶ エンディングテーマ Ultraman Kids Ed — Twinkle Twinkle Wink主題歌を歌っている山野さと子さんは、1990年代に『ドラえもん』の主題歌を歌っていた人です(『ドラえもんのうた』は1992年までは大杉久美子さん、2002年から2005年までは吉川ひなのさんが歌っています)。
▶ 第1話(YouTube) Ultraman Kids Haha wo Tazunete 3000 man Kounen 01DVD-BOXは絶版のため定価よりも大分高くなっていますが、2023年に北米版も発売されています(リージョンコード「1」のため日本の機器では再生不可)。
▶ Amazon.co.jp ウルトラマンキッズ DVD-BOX2(絶版・プレミア価格) ▶ 楽天市場 ウルトラマンキッズ 母をたずねて3000万光年 北米版 DVD【輸入盤】この作品を見て「あの頃はよかった」という想いを抱くのは、ノスタルジーのせいだけではないと思います。1991年と言えば、まだ日本に元気があった時代。あの頃に比べれば、今の方が生活環境ははるかに便利になっているのに、人々から「寛容さ」が失われてしまったように思えてなりません。
低価格で高品質なものを望むのが当たり前のようになってしまった環境では、どんなものを手に入れても何かが満たされない……まさに、劇中のクレロンの姿そのものです。
クレロンのように自分が悪かったことを素直に謝れるのか、クレロンの仲間たちのようにかつての友達のあやまちを認めて許すことができるのか。フィクションなのできれいにまとまりすぎている部分もありますが、私たちがこの作品から学べることは数多くありそうです。
この記事を書いた人
山本 淳平 (Jyunpei Yamamoto)
山本でんき有限会社 施工管理 / デジネスラボ放送局 パーソナリティ
高知県幡多地方のインフラを守る
電気・空調・消防設備のプロフェッショナルとして、
地方の暮らしを支え、次世代の担い手を育成します。


