遺伝子操作技術は人間を助けられるか?

遺伝子操作技術は人間を助けられるか?
映画『私の中のあなた』から考える家族の形
- 作品名:『私の中のあなた』(原題:My Sister's Keeper)
- 公開:2009年 アメリカ(109分)
- 出演:キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン 他
- 監督:ニック・カサヴェテス
アナは、白血病の姉ケイトのドナーとなるべくして、遺伝子操作による体外受精で生まれた妹です。適合性のある子どもを、受精卵の段階で確認するという方法でこの世に生を受けました。
出生時から姉を助けることを運命づけられていたアナですが、ある日意を決して、凄腕の弁護士に依頼を持ち込みます。
「両親を訴え、体を守りたいの」
腎不全に陥った姉への臓器提供を拒むアナ。その背景には、一人の少女としての切実な不安と、誰にも言えない想いが隠されていました。
家族の誰に感情移入するか
この物語が興味深いのは、ドナーとなる宿命そのものよりも、「家族の絆とエゴ」に焦点が当たっている点です。誰の立場に立つかで、物語の景色は一変します。
母・サラ(キャメロン・ディアス)
娘を救うためなら、自ら髪を剃りスキンヘッドになることも厭わない。その献身は時に他を圧倒するほどの激しさを見せます。
父・ブライアン
ケイトに気を取られ、アナを疎かにしていた自分を悔やむ。「自然に逆らった我々に天罰が下ったのだ」という独白が胸に刺さります。
兄・ジェシー
人知れず失読症(学習障害)に苦しむ彼もまた、家族の中でケアを必要としていた一人でした。
妹・アナ
姉を愛しながらも、自らの人生と身体の自由を求めて法廷に立つ決意をします。
「ビーチに行きたい」という最後の願い
物語の後半、体調が悪化したケイトが訴える「ビーチに行きたい」という願い。医師が外出を許可し、家族そろって穏やかに過ごせる最初で最後の機会。視聴者の予感が、どうか当たらないでほしいと願わずにいられない、美しいシーンです。
裁判を通じて明らかになる、アナがかたくなに提供を拒んでいた本当の理由。それは母親のサラが思ってもみなかった悲しい真実でした。
「何度も言ってたが、君は…聞こうとしなかった」
原作小説と映画では結末が大きく異なると言われていますが、この「家族の対話」の欠如が生んだ悲劇は、現代の私たちにも通じる問いを投げかけています。
この記事を書いた人
山本 淳平 (Jyunpei Yamamoto)
山本でんき有限会社 施工管理 / デジネスラボ放送局 パーソナリティ
高知県幡多地方のインフラを守る
電気・空調・消防設備のプロフェッショナルとして、
地方の暮らしを支え、次世代の担い手を育成します。


