「看護師さん、ありがとう」—— その言葉をいただくたびに、心は満たされるはずでした。約12年間、白衣を纏い、命の最前線で走り続けてきた日々。やりがいは確かにありました。けれど、夜勤明けの重い体で帰宅し、鏡の中に映る自分を見た時、ふと思うことがありました。「私は、『看護師というブランド』の仮面を被って生きているだけではないだろうか」と。
そんな時、私の心を唯一「素の自分」に戻してくれたのが、幼い頃に祖母から教わった編み物でした。静かな部屋で、豆から挽いたコーヒーの香りに包まれながら、針を動かす。一本の糸が、自分の手の中で形を変えていく。その規則正しいリズムだけが、波立つ心を支えてくれました。
今、あなたがもし「自分を見失いそう」「何かに没頭したいけれど、自分には才能がない」と感じているなら、この話はあなたのためのものです。
12年のキャリアを脱ぎ捨て、
「自分の人生」を編み直すと決めた日
医療の世界は、常に「正解」を求められます。ミスは許されず、エビデンスに基づいた行動が絶対。そんな世界で12年過ごすと、いつの間にかプライベートでも「正しくあらねばならない」「失敗してはいけない」という思考の癖がついてしまいます。
私が「自分の人生は自分で決める」という座右の銘を掲げ、看護師という安定を捨てる決意をした時、周囲の目は決して優しいものばかりではありませんでした。「もったいない」「せっかくのキャリアなのに」—— けれど、私の心の中の羅針盤は、すでに「ワクワクすること」を指し示していました。
「私は、誰かの期待に応える人生を送るのか、
それとも自分の心が躍る人生を
自分で作り上げるのか」
8歳で初めて針を持った時の、あの純粋なときめき。それを仕事にする。それは逃げではなく、自分自身への「誠実さ」の証明でした。
なぜ編み物は「挫折」するのか?
看護師の目で読み解く3つの原因
「私は不器用だから、何度やっても上手くいかない」—— そう言って教室の門を叩く方に、私は看護師時代のアセスメント能力を使って、こうお伝えします。「それはあなたの不器用さのせいではなく、脳と心の『緊張状態』が原因です」
初心者にとって、編み図は未知の言語です。それを一度に理解しようとすると、脳は拒絶反応を起こします。これは新人看護師が複雑な処置を一度に覚えようとしてパニックになるのと同じ。私は、この「情報量」を徹底的に分解し、ステップバイステップで提供します。
「綺麗に編まなきゃ」というプレッシャーは、自律神経を刺激し、指先の筋肉を硬直させます。糸を引く力が強くなりすぎて、針が入らない。これが「不器用」という誤解の正体です。私のレッスンでは、まずは深呼吸し、心を緩めることから始めます。
一目間違えたら、すべてが台無しになる……。そんな恐怖が、あなたの手を止めていませんか? 編み物は、何度でも解いて、何度でも編み直せます。人生と同じです。間違えた場所まで戻ることは「後退」ではなく、より強固な作品を作るための「必要なプロセス」なのです。
伴走型ニットセラピー
技術の先に、自分を癒やす時間を
私のレッスンは、単なる手芸教室ではありません。墨田区・江東区の落ち着いたカフェや、オンラインでのマンツーマン指導を通じて、あなたの「自己肯定感」を編み直す時間です。
あなたの手の動き、視線の迷い、ため息の一つひとつを見逃しません。不安なサインをいち早くキャッチします。
何度同じところで間違えても、申し訳なさは不要。あなたのペースだけを尊重します。
自宅という最もリラックスできる場所で、お気に入りのコーヒーを飲みながら。手元をミリ単位で共有します。
墨田区・江東区の落ち着いた空間で対面指導。日常から切り離された、あなただけの時間。
超初心者が6ヶ月で
「自分だけのバッグ」を作るロードマップ
「何もない一本の糸」から、友人に自慢したくなるような「花柄バッグ」を作るまでの軌跡をシミュレーションしてみましょう。
まずは鎖編み。自分の心地よい「リズム」を見つけます。
増し目を学び、平らなものが「立体」になる感動を味わいます。
暗号だと思っていた編み図が、音楽の楽譜のように見えてくる瞬間です。
ポコポコとした立体的な模様に挑戦。指先の感覚が研ぎ澄まされていきます。
配色やサイズ感。あなたの「好き」をデザインに落とし込みます。
バッグが完成した時、あなたは気づくはずです。「私は、自分で決めたことを最後までやり遂げられる人間だ」という事実に。
ビジネスという名の「新しい戦場」
無知を認めた日から始まった
看護師という資格に守られていた12年間。正直に言えば、私は「ビジネス」というものを甘く見ていました。良いものを作れば売れる、想いがあれば伝わる——そんな純粋すぎる幻想は、小売店での業務委託を始めた瞬間に、音を立てて崩れ去りました。
商品棚に並べても、誰の目にも留まらない。SNSで発信しても、反応はゼロ。自分が心血を注いで作った作品が、まるで透明人間のように無視される感覚は、看護師時代には味わったことのない孤独でした。
2024年1月。私は自分のInstagramを作り替えました。キラキラした成功だけを見せるのではなく、編み間違えて全部解いた夜の悔しさや、コーヒーを豆から挽く静かな時間、元看護師としての葛藤を包み隠さず綴りました。
5年後のビジョン
「ニットセラピー」の確立
認知症の予防、鬱症状の緩和、あるいは激務で心をすり減らしている医療従事者のセルフケア。指先を動かし、色が混ざり合い、形が生まれていく。そのプロセスが持つ「癒やしの力」を、エビデンスに基づいた一つの「ケア技術」として確立したいのです。
5年後の私は、きっと病院や介護施設で、白衣の代わりに温かなニットを羽織り、たくさんの人たちと輪になって編んでいるはずです。
「自分の人生は自分で決める」
その言葉を、自分を見失いそうになっている
すべての人に、編み物を通じて手渡していく。
それが私の使命です。
豆から挽いたコーヒーを飲みながら、ほんの5分だけ、自分のためだけに針を動かす。その「一目」が、あなたの人生を編み直すための第一歩になります。




